WBCを2連覇に導いた侍(武士)の精神

 日本の野球が世界一になりました。

 WBCは2連覇になります。今回も感動と勇気をもらいました。心から感謝致します。

 開催国の米国が優勝するような組み合わせとルールの中で、日本は、中国戦から始まり、全9回の試合のうち、5回も韓国と対戦したのですから、日本も、韓国も、そしてキューバも大変な消耗戦を強いられる大会でした。

 韓国のチームは、その中から勝ち抜いて決勝まで勝ち抜いたのですから、そして、決勝では日本と互角以上に戦ったのですから、本当に素晴らしいチームだと思いました。

 9回終了時点で、3対3の同点になったのです。8回と9回に韓国は1点ずつ得点し、追い上げて同点になったのですから、流れは韓国にありました。


 お互いに、持てる力のすべてを出し切り、しびれるような感動が伝わりました。

 韓国のチームは歴史に残る素晴らしい試合をしてくれたのです。

 2008年の北京オリンピックで、韓国が金メダルに輝いた実力は確かだったのです。

 甲子園で、優勝できずに準優勝になったチームを讃えるように、韓国のチームが本当に素晴らしいチームであることは、日本中が感じていることと思います。


 さて、北京オリンピックでは日本は、韓国には前年の予選で勝っていたのですが、肝心の本番では負けています。2位になったキューバにも、勝つことができませんでした。 

 さらに、大学生が主体のチーム構成だった米国にも、一度負けて、3位決定戦でも、8対4で負けて、銅メダルも取れずに惨敗に終わりました。

 日本は、2007年12月から2008年の8月までの9ヶ月の間に、天狗になってしまい、奢り高ぶり、意識レベルをかなり下げてしまいました。

 北京オリンピックまでは、2006年のWBCでは世界一になっているし、予選でもアジアで一位になっているので、金メダルは当然取れると思い、高を括って北京五輪に臨んだのです。

 それ以上はあまり触れたくありませんが、意識レベルの差が力の差になることは、すべてのスポーツに、そして、あらゆる分野に共通しています。


 今回のWBCは2回目ですが、世界ランキング4位の日本にとっては、米国も、キューバも、そして、韓国も、上位の国はオリンピック以上の力の入れようで臨んできましたから・・・・・。

 日本が2連覇することは至難の業!と、言われていました。

 日本の選手達は、北京オリンピックの教訓もあり、国際試合では、実力以外のものが左右している!と、感じていたようにも思われました

 立ちはだかる壁がいくつもありましたが、すべて乗り切って優勝できました。

 MVPが松坂選手でしたが、ピンチになっても動揺しない投球術は、丹田に意識を集める方法を剣道の先生から教わった!とのことですが、これは、まさしく武士道から来ています。

 そして、打撃が不調だったイチロー選手が、最後の最後に、起死回生の会心の決勝のタイムリーヒットを打ちました。

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<WBC>イチロー「最後に神が降りた」
3月24日15時34分配信 毎日新聞

イチロー選手の談話
 ありがとうございます。いやーもう、苦しいところから始まって、苦しさからつらさになって、つらさを超えたら心の痛みになった。
 最後は笑顔になれた。最後の打席では神が降りてきましたね。自分(の心の中)で実況しながら打席に入った。
 一つ壁を越えた。
 (「今大会は山あり谷ありでしたが」と質問され)谷しかなかった。最後に山が来ました。これからシャンパンファイト、思いっきり浴びてきます。

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>自分(の心の中)で実況しながら打席に入った。

 これは、自己対話のことです。WBCでは今まで、不調だったので、悩みに悩んでいました。「実況しながら・・・」とは、第三者の目で、客観視できるようになったのです。

>いやーもう、苦しいところから始まって、苦しさからつらさになって、つらさを超えたら心の痛みになった。

 第三者の目で、悩みの渦中に入らず、プラスの自己対話で内面を深めると、周りを気にしない本当の自分の世界に入れたのです。一瞬、無の境地=ゼロに至ることができたのです。

 その感覚を、彼は「最後に神が降りた」と表現しています。

 彼は、この大会では、マスコミや周りや世間や、何か得体の知れないものを自分で脹らまして、気にばかりしていました。

 この大会にかける意気込みが大きくて、悩みの渦に巻き込まれて自分を見失っていたのです。

 ○一つ壁を越えた。とは、素晴らしい境地です。


 そして、新聞の朝刊に、原監督のインタビューが載っていました。

 「世界の舞台の頂点で、最後の5回目を戦える。そして、雌雄を決する。韓国に対して尊敬の念がある。世紀の一戦という形で、堂々と胸を突き合わせて勝負をしたい。」原監督は決勝への思いを口にした。と、書いてありました。

 テレビでは、肝心の「韓国に対して尊敬の念がある。」という部分が抜けていました。

 原監督は、キューバにも、アメリカにも、「尊敬の念がある」と、インタビューに答えていました。

 これは、北京オリンピックの時の監督にはなかった言動です。


◎感謝を深めて、謙虚になって、相手を崇敬して、無心の境地になれば、まさしく、侍(武士)の精神になりきれば、大丈夫だと思います。

 と、昨日のメルマガに書きましたが、原監督は、名監督であったお父さんの血を受け継いでいるようで、武士=侍の精神を持っているようです。

 侍の漢字は、人に寺と書きますが、何となくわかるような気がします。

 1979年か1980年ごろに、日本の学生選抜がアメリカ遠征しました。

 その当時、私はロスに留学生でいましたが、日本人の知人に食事に誘われ、その席に、岩本選手と原選手ともう一人名前は記憶にありませんが、3人の学生の野球選手と同席で食事をしました。

 どのような関係で、そのような状況になったのかわかりませんが、彼らから一方的にもらったサインがしばらくありましたので、覚えていました。

 岩本選手だけが多く話されていて、原選手は寡黙で、何も話さなかったのが、今でも薄っすらと記憶にあります。
 
 あの青年が、監督としてロスで世界一になるのですから、

 とにかく、歴史に残る素晴らしい快挙おめでとう御座います。

 そして、感動を有り難う御座いました。

サムライジャパン 連覇

イチローは、いったい何を考え、何と戦っていたのか